気管カニューレQ&A
監修
国際医療福祉大学教授 福岡山王病院
耳鼻咽喉科部長/音声・嚥下センター長 梅﨑 俊郎 先生
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気管カニューレの外径(OD)と内径(ID)の違いを教えてください。
気管カニューレのパイプ部の肉厚を含めた外側の径を外径(OD)、実際に空気の通り道となる内腔の径を内径(ID)と呼びます。サイズ表記は、mm(ミリメートル)が一般的です。しかしFr(フレンチサイズ)で識別する医療機関も一部ございます。1mmは3Frと換算されることを覚えておくと便利です。
詳細は無償で配布している冊子「気管カニューレの種類とその使い分け」をご参照ください。 -
気管カニューレの種類やメーカーを変える際のサイズ選定方法を教えてください。
外径(OD)が同じ、あるいは最も近いサイズを選んでください。1mm未満の違いであれば、気道確保の観点から大きいサイズを試すことも検討してください。但し、現在使用している気管カニューレのフィット感にもよりますので専門医に相談してください。
気管径との関係から選定の参考にするのは外径(OD)ですが、気管カニューレメーカーの多くは内径(ID)で製品を選別しますので注意が必要です。 -
気管カニューレを選ぶ基準を教えてください。
以下の手順で選ぶことをおすすめします。
①患者様の病態に応じ、必要な機能を検討する。
(例:内筒(インナーカニューレ)の要否)
②サイズを決める。
気管孔の大きさ、患者様の体格や気管形状に注意して選定してください。
尚、メーカーや製品によりパイプの長さやカーブ形状が大きく異なりますので注意が必要です。
③必要な機能を満たした製品を探す。
複数のメーカーが販売していますので、適切なものを選んでください。
また、患者様の病態の変化に合わせて適宜、気管カニューレの機能やサイズの見直しを行ってください。
詳細は無償で配布している冊子「気管カニューレの種類とその使い分け」をご参照ください。 -
気管カニューレは一度抜いたものを洗浄消毒を行い、再使用しても大丈夫ですか。
気管カニューレはメーカーを問わず、すべて単回使用を前提として設計された特定保険医療材料です。再滅菌・再消毒後のご使用は控えてください。
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気管カニューレの保険請求方法について教えてください。
特定保険医療材料ですので、保険請求可能です。月あたりの保険請求可能な数量は各自治体様により異なりますので、関連機関にお問い合わせください。
尚、2024年6月現在の機能分類・弊社製品別の償還価格は、以下をご確認ください。 -
取り外した内筒(インナーカニューレ)や発声用バルブの保管方法を教えてください。
メーカー推奨の保管方法はございません。患者様毎に蓋つきのトレー等を用意して、ベッドサイドに置いて保管している医療機関が多いようです。
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気管切開をしていても、発声用の気管カニューレを使用すると、なぜ声を出すことができるのですか。
気管切開を行うと、呼吸は気管カニューレを介して行いますので、呼気により声帯を揺らす(声を出す)ことができません。しかし側孔(窓)のあるカニューレに発声用バルブを接続すると、呼気が上気道を通り声帯を揺らす(声を出す)ことが可能となります。
詳細は、動画「気管カニューレ 発声機能(声を取り戻そう)」をご覧ください。 -
高研社製気管カニューレの材料を教えてください。
各製品の添付文書をご覧ください。
「製品情報・添付文書」 -
高研社製気管カニューレのサイズや長さ、径を教えてください。
「製品情報・添付文書」から、ご覧になりたい製品をお選びください。必要な情報が掲載されていない時は、本サイトのお問合せフォームよりお問い合わせください。
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コーケンネオブレスのサイズ選定方法について教えてください。
コーケンネオブレスのパイプ断面は真円でなく、長径と短径のある楕円形状です。気道確保の観点から短径を基準に選定してください。但し、現在使用している気管カニューレのフィット感にもよりますので専門医に相談してください。
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コーケンネオブレス(複管タイプ・スピーチタイプ)と人工呼吸器を繋げて呼吸管理をおこなうとアラームが鳴ってしまいます。
二重管(複管)気管カニューレの構造上、気管カニューレ本体と内筒(インナーカニューレ)の隙間から若干空気が抜けてしまいます。呼吸回路の設定や気管カニューレサイズの見直し等で改善することもありますが、厳密な呼吸管理を要する患者様には一重管(単管)気管カニューレへの変更も選択肢となります。
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高研社製気管カニューレを使用している患者様にMRI検査をおこなってもいいですか。
金属バネを使用しているカフ付き気管カニューレ(コーケンマイスターブレス ベーシック・コーケンネオブレスシリーズ・コーケンダブルサクションカニューレ)はシールバルブを、コーケンマイスターブレスはシールバルブとカフ圧インジケータを、できる限り走査エリア外に置いて、チューブをテープ等で固定してください。
また、コーケンマイスターブレスは金属バネの使用量が多く、吸着リスク・アーチファクトの恐れがあります。コーケンマイスターブレス ベーシックに交換した上での検査を推奨いたします。
尚、高研式気管カニューレ複管の内筒(インナーカニューレ)は、つまみが金属ですので、必ず外してから検査を行ってください。
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高研社製気管カニューレでレントゲンやCT検査に対応しているものを教えてください。
弊社カフ付き気管カニューレ(コーケンマイスターブレスシリーズ・コーケンネオブレスシリーズ・コーケンダブルサクションカニューレ)は、すべて造影ラインがパイプに内蔵されています。
弊社カフなし気管カニューレでは、コーケンシリコーンカニューレ、コーケンシリコーンカニューレP型が造影剤が配合されたパイプを採用しています。 -
レティナ・開口部レティナを初めて使用する際、径や長さを選ぶ基準を教えてください。
径は、現在使用中の気管カニューレの外径をベースに選定してください。長さは、レティナゲージ等を用いて、皮膚から気管前壁までの長さを測定してください。実測値より2~3mm長いものをお選びすることをお勧めします。
なお、レティナゲージは無償でご提供しております。ご入用の際は、本サイトのお問い合わせフォーム、または弊社営業所までお問い合わせください。
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コーケンPPカニューレシリーズと高研式気管カニューレ、スピーチカニューレの違いを教えてください。
共に一重管(単管)、二重管(複管)、スピーチの3種類がございます。
コーケンPPカニューレは軽量・肉薄(当社比)で、内筒(インナーカニューレ)やワンウェイバルブ(発声用バルブ)をロック接続できることが特徴です。高研式気管カニューレは分泌物が比較的付着しづらいフッ素樹脂をパイプ素材に、柔らかいシリコーンゴムをフレーム素材に採用していることが特徴です。 -
コーケンネオブレスダブルサクションタイプとコーケンダブルサクションカニューレの違いを教えてください。
同一の機能を有し、分泌物・誤嚥等により、吸引頻度の高い患者様が対象となります。
コーケンネオブレスダブルサクションタイプは、パイプの長さが短めで、円弧型のパイプカーブを採用しております。コーケンダブルサクションカニューレは、日本人に合ったパイプカーブを採用しております。また、コーケンネオブレスダブルサクションタイプは上部吸引ラインがパイプに外付けされている仕様に対し、コーケンダブルサクションカニューレは、パイプ内に内蔵されているため凹凸が少ない設計となっております。